キャラクターIPとは？活用のメリット・デメリット・事例や関連職種も紹介！

近年、アニメやゲーム、漫画などのキャラクターは、単なるコンテンツの枠を超え、ビジネスにおける重要な知的財産（IP）として注目を集めています。自社のキャラクターはもちろん、他社の人気キャラクターを活用することで、新たな価値創造や収益化が期待できる一方、注意すべき点も存在します。

本記事では、キャラクターIPの定義から、活用するメリット・デメリット、具体的な活用事例、そして関連する職種までを幅広く解説します。キャラクタービジネスに関わる方はもちろん、IP活用に関心のある多くの方にとって参考になる内容になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

キャラクターIPとは、「Intellectual Property」の略である「IP（知的財産）」の中でも、特にキャラクターに関する権利を指します。これは、著作権、商標権、意匠権など、法律で保護される無形の財産であり、キャラクターのデザインや名前、設定などが含まれます。例えば、アニメや漫画の登場人物、企業のマスコットキャラクターなどが該当します。

日本では、キャラクターIPの活用が盛んであり、その市場規模は約2.7兆円に達するとされています。これは、キャラクターグッズの販売やライセンスビジネスなど、幅広い分野での活用が進んでいることを示しています。

自社IPと他社IPの違い

キャラクターIPは、権利の所在によって自社IPと他社IPに分けられます。自社IPは、企業や個人が独自に創作し、権利を持つキャラクターです。権利を自社で完全にコントロールできるため、自由な活用が可能です。たとえば、企業が自社製品のために制作したオリジナルキャラクターなどが該当します。

一方、他社IPは、他の企業や個人が権利を持つキャラクターであり、活用には権利者との契約が必要です。人気キャラクターのブランド力を利用できるメリットがありますが、利用範囲や期間に制限があり、ライセンス料が発生します。例として、人気アニメのキャラクターを活用する場合などが挙げられます。

活用するメリット

キャラクターIPを活用する主なメリットは以下の通りです。

● ブランドイメージ向上と認知度向上: 親しみやすいキャラクターは、企業や製品に好印象を与え、記憶に残りやすくします。
● 新たな顧客層の獲得: キャラクターの魅力は、これまでリーチできなかった層を引きつけます。
● 商品・サービスの付加価値向上と差別化: キャラクターを取り入れることで、商品やサービスに独自性が生まれます。
● プロモーション効果の増大: キャラクターを活用した広告は、注目を集めやすく、情報拡散力も高まります。

活用するデメリット

キャラクターIPを活用する際には、以下のデメリットも考慮する必要があります。

● コスト: 自社IPの開発や他社IPのライセンス取得には費用がかかります。
● ブランドイメージへの影響: キャラクターのイメージが自社ブランドと合わない場合、逆効果になる可能性があります。
● 権利関係の複雑さ: 特に他社IPの場合、契約内容の確認や遵守が重要になります。
● キャラクターの陳腐化: 人気キャラクターでも、時間の経過とともに人気が衰える可能性があります。

活用する方法

キャラクターIPの活用方法は多岐にわたります。

● 商品化: ぬいぐるみ、文房具、アパレルなど、キャラクターグッズを開発・販売します。
● イベント: キャラクターショーやグリーティングイベントなどを開催し、集客やファンとの交流を図ります。
● プロモーション: CM、Web広告、SNSなどでキャラクターを起用し、広告効果を高めます。
● デジタルコンテンツ: アプリ、ゲーム、Webサイトなどにキャラクターを活用し、ユーザーとの接点を増やします。
● コラボレーション: 他社IPと連携し、新たな商品やサービスを開発します。

バーチャルキャラクターと観光施設のコラボイベント

近年、インターネット上だけでなく、現実世界においてもバーチャルキャラクターの活用事例が増加しています。その中でも注目されるのが、観光施設とのコラボレーションイベントです。

静岡県の人気複合観光施設である「奏の森Resorts」は人気ボーカロイドバーチャルキャラクター「初音ミク」とコラボレーションを実施しました。コラボ宿泊プランが用意されたり、「初音ミク×冒険」をテーマとしたイラストコンテストなどを開催されます。イラストコンテストでは入選作品は期間中、施設内に展示され、優秀な作品には豪華景品がプレゼントされます。

この取り組みでは、従来の顧客層とは異なるキャラクターのファンが施設を訪れるきっかけを作り、新たな顧客層の開拓につながる点がポイントです。このようなバーチャルキャラクターと観光施設のコラボレーションは、地域活性化の新たな一手として、今後ますます注目されていくと考えられます。

参照元：PR TIMES（https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000196.000078302.html）

アニメキャラクターのグッズ販売

アニメキャラクターのグッズ販売は、キャラクターIP活用の最も一般的な手法の一つであり、長年にわたり大きな市場を形成しています。人気アニメ「ダイヤのA actⅡ」では、缶バッジやトレーディングブロマイド、アクリルスタンド、などさまざまなグッズを販売。予約販売の時点で大きな盛り上がりを見せています。

これらのグッズは、キャラクターのディフォルメしたかわいいイラストをあしらったアクリルスタンドや缶バッジ、作中で描かれるTシャツや名札など、ファンにとってはたまらない魅力的な商品となっています。アニメキャラクターのグッズ販売の強みは、アニメというコンテンツを通じてキャラクターに深い愛着を持つファン層が存在することです。彼らは、自分の好きなキャラクターを身近に感じたい、コレクションしたいという強い欲求を持っており、そのニーズに応える形で様々なグッズが企画・販売されています。

また、グッズ販売は、アニメ制作会社や関連企業にとって、大きな収益源となるだけでなく、ファンとの継続的なエンゲージメントを築く上でも重要な役割を果たします。このように、アニメキャラクターのグッズ販売は、キャラクターIP活用の王道でありながら、常に新しい企画や商品が登場し、ファンを魅了し続けています。

参照元：PR TIMES（https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000618.000006779.html）

関西万博公式キャラクターのアニメ化

2025年に開催される大阪・関西万博の公式キャラクター「ミャクミャク」が、アニメ化されることが決定し、大きな話題を呼んでいます。このアニメ化は、万博への機運を高め、より幅広い世代に「ミャクミャク」の認知度を向上させることを目的としています。

アニメは、子供から大人まで楽しめる内容になるとされており、「ミャクミャク」の愛らしい動きや、万博のテーマである「いのち輝く未来社会のデザイン」に関連したストーリーが展開されることが期待されます。この事例は、イベントの公式キャラクターをアニメ化することで、イベント開催前から注目を集め、期待感を高めるという新たなキャラクターIP活用の可能性を示唆しています。アニメというメディアを通じて、「ミャクミャク」のキャラクター性をより深く掘り下げ、親しみやすさを向上させることで、万博への来場意欲を高める効果が期待されます。

また、アニメ化によって、「ミャクミャク」は万博期間中だけでなく、その後も長く愛されるキャラクターとして定着する可能性を秘めています。グッズ展開や他のメディアへの展開など、多角的なIP活用も視野に入れることができるでしょう。このように、関西万博公式キャラクター「ミャクミャク」のアニメ化は、イベントPRの枠を超えた、キャラクターIPの戦略的な活用事例として注目されます。

参照元：Yahoo!ニュース（https://news.yahoo.co.jp/articles/3237f11fc247e93c04e85a1d3c614286d58d141a）

フィギュアキャラクターのゲーム化

近年、精巧な造形と美しい彩色でコレクターを中心に人気を集めるフィギュアキャラクターが、ゲーム化される事例も増えています。この事例では、人気フィギュアシリーズ「Funko Pop!」のキャラクターたちが登場する新作ゲーム「Funko Fusion」が発表され、大きな注目を集めています。

既存のフィギュアという物理的な商品を、デジタルコンテンツであるゲームへと展開することで、新たなファン層の開拓や、既存ファンのエンゲージメント向上を図るという、キャラクターIPのメディアミックス戦略の成功例と言えるでしょう。フィギュアのファンは、ゲームを通じてキャラクターをより深く体験することができ、ゲームのファンは、気に入ったキャラクターのフィギュアをコレクションしたいという新たな購買意欲を刺激される可能性があります。

このように、フィギュアキャラクターのゲーム化は、異なるメディア間の連携によって、キャラクターIPの価値を最大限に高めるための有効な手段の一つとして注目されています。

参照元：doope（https://doope.jp/2024/05145371.html）

キャラクターIPの活用は多岐にわたるため、それに関わる職種も多岐にわたります。以下に、「charaten.net」で紹介されている関連職種を参考に、主な職種とその概要をまとめました。

●キャラクターデザイナー
キャラクターIPの根幹となるキャラクターのデザインを担当します。魅力的なキャラクターを生み出すだけでなく、そのキャラクターが様々な媒体で展開されることを考慮した設計が求められます。より詳しい情報はこちらをご覧ください。

≫キャラクターデザイナーってどんな種類がある？目指し方や仕事の流れ、年収も紹介！

●IPプロデューサー
キャラクターIPの企画立案から、商品化、イベント、プロモーションなど、多角的な展開をプロデュースする役割を担います。市場調査や権利管理なども重要な業務です。より詳しい情報はこちらをご覧ください。

≫キャラクターマーケティングとは？成功例や会社への就職・転職方法も紹介

●アニメーター
アニメーション制作において、キャラクターに動きや表情を与える重要な役割を担います。キャラクターの魅力を最大限に引き出すための表現力が求められます。より詳しい情報はこちらをご覧ください。

≫アニメキャラクターの描き方！人気キャラクターの特徴や関連職種も紹介

●ゲームクリエイター
キャラクターIPをゲームに活用する際に、ゲームの企画、開発、デザインなど、幅広い業務を担当します。キャラクターの特性を活かしたゲームシステムや世界観の構築が重要です。より詳しい情報はこちらをご覧ください。

≫コンテンツクリエイターとは？仕事内容・年収・求人探しの注意点などを解説

●グッズプランナー
キャラクターIPを活用したグッズの企画、デザイン、製造、販売戦略などを担当します。市場のニーズを的確に捉え、魅力的な商品を生み出すことが求められます。より詳しい情報はこちらをご覧ください。

≫キャラクターグッズ制作会社の仕事内容！就職・転職方法や求人情報の注意点

上記以外にも、キャラクターIPに関わる職種は多岐にわたります。これらの職種が連携することで、魅力的なキャラクターIPが生み出され、様々な形で活用されていくのです。

本記事では、キャラクターIP（知的財産）の定義、自社IPと他社IPの違い、活用するメリット・デメリット、具体的な活用方法、そして注目すべき活用事例や関連職種について解説してきました。

キャラクターIPは、エンターテインメント業界のみならず、様々な分野で大きな影響力を持つ存在であり、その活用次第でブランド価値の向上、新たな顧客層の獲得、収益の拡大など、多岐にわたる効果が期待できます。今後も、技術の進化や社会の変化とともに、キャラクターIPの活用方法はさらに多様化していくと考えられます。もし、キャラクターIPに関わる仕事に興味を持たれた方は、ぜひこちらの求人情報ページをご覧ください。