アニメの背景美術ってどんな仕事?収入やキャリアプランを解説

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アニメの背景美術ってどんな仕事?収入やキャリアプランを解説

「建物や自然などの風景画を描くのが好き」
「アニメの背景に興味がある」

そんな方におすすめなのが、アニメの「背景美術」の仕事です。背景美術とは、キャラクターの後方に重ねる背景画を制作するスタッフのこと。アニメ作品になくてはならない、縁の下の力持ちです。本記事では、背景美術の仕事や収入、キャリアについて解説します。背景美術に興味がある方やアニメに関わる仕事を目指している方は、ぜひ参考にしてみてください。

背景美術の仕事とは?

私たちが普段目にするアニメーションは、ひとつの画面上にキャラクターの絵と背景画を重ねて表現されています。キャラクターと背景はそれぞれ専門のスタッフが分業して制作しており、前面で動くキャラクターを担当するスタッフを「作画」、キャラクターの背後に重ねる背景を担当するスタッフを「背景美術」と呼びます。背景美術の仕事は、視聴者に作品の設定や世界感、時間の経過を視覚的に伝え、物語への理解をサポートする役割を果たしています。背景の仕上がりは、作品の質そのものに影響する重要な要素と言えるでしょう。

背景作成の流れ

アニメの背景は、「美術設定」「美術監督」「背景美術」の連携によって作成されており、それぞれが線画、色決定、量産、3D制作の作業を担っています。本章では、背景が制作されるまでの全体の流れを紹介します。

①線画

美術設定と呼ばれるスタッフが、作品の舞台やキーとなる風景、建物内の全体像を線画で表現します。部屋にあるものからキャラクターの性格や暮らしを表現したり、作品の世界観を表現し、制作スタッフと共有します。

②着色

美術設定が作成した線画に美術監督が着色を施し、「美術ボード」を作成します。作成した美術ボードは、その後の工程で量産される背景画に差異が生まれないよう、サンプルとして使用されます。

③量産

美術ボードや、背景のレイアウトを指示する「背景原図」などの資料を参考にして、実際のアニメに使用する背景画を背景美術が量産します。細かな表現が資料で指定されていない場合、背景美術がアイデアをくわえることもあります。

背景美術の収入は?

背景美術は、制作会社の中でも新人が担当することが多く、制作会社で働いた場合の一般的な月収は17万円前後と低めです。フリーランスの場合は、1カット2,000〜4,000円程度の出来高制で契約することが多く、スキルが高い人であれば、会社員として働くよりも多くの収入が得られるでしょう。

背景美術のキャリアプラン

背景美術は、美術設定、美術監督へのキャリアが開かれています。本章では、背景美術から目指せるキャリアについて解説します。

美術設定

アニメの背景シーンを線画で描き出し、背景の世界観や設定をざっくりとしたビジュアルで共有します。世界観や設定を決める際は、美術監督の意図をくみ取って線画に反映させることもあるため、コミュニケーション力や意図を形にする表現力が求められるでしょう。

なお、美術設定はキャラクターと背景を重ねた時の正確なスケール感を表現するため、建物や物の大きさを把握する特殊な技術が求められます。美術設定を目指すのであれば、物の寸法を測り、紙の上で正確な比率を表現することに慣れておきましょう。

求人サイトに掲載されている都内のアニメ制作会社の求人によると、美術設定の給与は月給21万円〜、年収300万円〜に設定されているケースが多く見られます※。

※【参考サイト】求人ボックス(「美術設定 アニメ」の仕事で検索)|https://xn--pckua2a7gp15o89zb.com/%E7%BE%8E%E8%A1%93%E8%A8%AD%E5%AE%9A-%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%81%AE%E4%BB%95%E4%BA%8B

美術監督

美術設定や美術助監督に指示を出し、作品全体の背景美術のクオリティを担保します。また、美術設定とともに背景のサンプルとなる「美術ボード」を作成し、作品の世界観を決定します。

美術監督は、監督や演出の意図をくみ取り、美術設定や美術助監督に伝えて制作に反映させる調整役としての動きも多く、高いコミュニケーション力や調整力、傾聴力が求められる仕事です。また、アニメの背景制作は、根気がいる上にスケジュールに余裕のない工程になりがちです。美術監督は美術助監督に仕事を振り分けながら、制作をスムーズに進行するスケジュール管理能力が求められるでしょう。

美術監督の収入は、年収500万円程度からスタートするのが一般的です。年収300万円台が多い背景美術から美術監督にキャリアアップすることで、年収アップが見込めるでしょう。

背景美術に求められるスキル

アニメの背景美術には、以下のようなスキルが求められます。

①画力と知識

背景美術は、作品の世界観を伝えつつ、キャラクターの存在する空間をリアルに見せるためのスキルと知識が必要です。基本的なデッサン力はもちろん、物同士の距離関係や正確なパース、人物との色味の合わせな方など、専門的なスキルと知識を身につける必要があるでしょう。

②デジタルツールのスキル

近年、アニメ業界はデジタル環境での制作が一般化しています。背景美術においても、画力はもちろん適切なツール、ソフトを使うスキルが求められるでしょう。また、デジタルツールは日進月歩で進化し、常に新しい技術が登場します。こうしたツールを使いこなすための情報収集や技術のアップデートも意識する必要があります。

③根気と熱意

キャラクターの作画よりも長い時間がかかる背景美術の仕事は、緻密な作業を根気よく行える人が向いています。また、物語の世界観やキャラクターのいる空間を表現するには、専門的な技術を身につけることはもちろん、自らアイデアを出して、より良い成果を目指す熱意も必要です。

アニメの背景美術を目指すには?

背景美術を目指すには、美術大学や専門学校で絵に関する技術を学び、卒業後にアニメ制作会社や背景美術専門のプロダクションに就職するルートが一般的です。アニメ制作会社を選択する際は、これまでどのような作品に関わってきたのかもしっかりチェックしておきましょう。制作現場でスキルや経験を積んだ人は、フリーランスとして活躍する道もひらけています。

背景美術の将来

かつて、背景美術の仕事は手描きが主流でした。しかし近年、アニメ制作の現場でデジタルツールが普及し、背景においてもペイントソフトや3DCGソフトを使って描くのが一般的に。このことから、アニメ表現の幅は広がり、人手不足の現場においてよりスピーディで効率の良い制作が実現しています。また、近年はアニメ業界におけるAIの浸透もめざましく、写真からアニメの背景が自動生成できる画像生成AIなど、背景美術の仕事をサポートするAIも登場しています。今後、背景美術の仕事は、デジタルツールを活用しながら背景とキャラクターと融合させた際のバランスや、よりリアルな表現、これまでにない新しい表現を追求する役割に変化していくのかもしれません。

この先背景美術を目指す人は、高い描写力はもちろん、デジタルツールのスキルや作品全体を良くする意識、提案力もアピールできると良いでしょう。

【まとめ】背景美術への就職は、業界専門転職サイトで!

アニメの背景は、美術設定、美術監督が作成した「美術ボード」をもとに、背景美術が量産しています。作品全体に使用される背景はアニメ作品の世界観を支え、クオリティを左右する要素と言えるでしょう。背景美術は、高い画力と知識、デジタルツールを扱うスキル、今期と熱意が求められます。求人サイトでは月収17万前後での求人が多くみられますが、キャリアを積んで美術設定や美術監督を目指せば収入アップが図れるでしょう。

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