VTuberキャラデザのコツとは？魅力的に見せる設計ポイント

近年、VTuber業界の成長にともない、活動するVTuberの数も増加しています。市場が拡大するにつれ、キャラクターデザインには、発信内容に適した魅力的な表現が求められるようになりました。

こうした表現を実現するには、デザインの設計段階で、「コンセプトや方向性を明確に決めておくこと」が重要です。コンセプトや方向性が定まっていない場合、キャラクターの世界観が曖昧になり、配信活動に一貫性を持たせにくくなります。

本記事では、VTuberのキャラクターデザインにおける制作のコツや考え方を解説します。キャラクター制作に携わりたいデザイナー志望者やイラストレーター、VTuber業界への転職を検討する方は、ぜひ参考にしてください。

VTuberのキャラクターデザイン制作では、「活動方針」や「世界観」をキャラクターコンセプトとして事前に決めておくことが重要です。コンセプトが明確であれば、キャラクターの外見へ一貫した意図を反映でき、説得力のあるデザインにつながります。

まずは、VTuberのキャラクターデザインを設計する前に、押さえておくべき基本について紹介します。

キャラクターコンセプトと世界観を明確にする

キャラクターコンセプトは、デザインに一貫性と説得力を持たせるための重要な要素です。コンセプトを固める際は、以下の要素を具体的に検討します。

活動ジャンル	主軸となるコンテンツを明確にする（例：歌、雑談、ゲーム実況、教育など）
ターゲット層	誰に向けた活動なのかを具体的に設定する例：10代、社会人、特定の趣味を持つ層など
世界観（バックボーン）	キャラクターの職業・性格・種族・過去・外見の特徴などを詳細に設定する

ここで明確にコンセプトを設定しておくことで、コンセプトに応じた適切なデザインを検討しやすくなります。例えば、ゲーム実況や雑談で親しみやすさを重視する場合は、カジュアルなデザインが好まれるでしょう。信頼感や専門性を強調したい場合は、落ち着いた雰囲気のデザインが適しています。

このように、土台となるコンセプトが明確であれば、デザインに一貫性と説得力を持たせることが可能です。

活動内容に合ったデザインを考える

コンセプトが固まったら、実際の活動内容を考慮してデザインを検討します。活動内容によって、適したデザイン表現は異なります。以下に具体例を挙げているので、ぜひ参考にしてみてください。

✅歌唱系：ステージ映えする華やかな衣装や、特徴が一目で伝わるデザインにする
✅雑談系：長時間のトークでも視聴者にストレスを与えにくい、親しみやすくシンプルなデザインに
する
✅ゲーム実況系：動きを想定した衣装や、豊かな表情を表現しやすいデザインにする。全身活動を想定する場合は、ダイナミックな動きも考慮した設計にする

特に2Dモデルでは上半身の表現が中心となるため、髪や顔まわり、上半身の装飾品を魅力的に組み合わせたデザインが好まれる傾向にあります。しかし、デザインを複雑にしすぎると、モデリング時の可動域の確保が難しくなる点に注意が必要です。

そのため、キャラクターデザインの過程では、必要な表現と制作のしやすさを両立できるデザイン案を事前に検討しておく必要があります。

VTuberのキャラクターデザインでは、視聴者の印象を左右する要素がいくつか存在します。以下では、それぞれの要素を分解し、魅力的に見せるためのデザインのコツについて解説します。

第一印象を決める「配色バランス」と「シルエット」

キャラクターの第一印象は、「配色」と「シルエット」で瞬時に決まります。一目で誰なのか認識でき、個性や雰囲気を伝える重要な要素です。具体的には、以下のような工夫を行いましょう。

✅配色：メインカラー・サブカラー・アクセントカラーの3色構成を意識し、視覚的なバランスを整える
✅シルエット：髪型や服の形、装飾の位置を工夫し、遠目でも区別できる独自の形を目指す

印象に残るデザインにするには、配色は3色構成を基本に、シルエットは一目で区別できるように設計することが重要です。

個性を表現する「衣装」と「アクセサリー」

衣装デザインとアクセサリーは、キャラクターの性格や世界観、活動ジャンルを視覚化する重要な要素です。これらを工夫することで、既存デザインとの差別化が図れます。例えば、以下のような工夫が効果的です。

✅衣装デザイン：学生服や鎧といった衣装にすることで、キャラクターの立場や背景を伝えられる
✅アクセサリー：ヘアピン・リボン・武器・マスコットなどを用いることで、詳細なキャラクター性を表現できる

服装や装飾品は、キャラクターの識別につながるため、設定との矛盾が発生しないように丁寧に作り込むことが求められます。

感情表現を引き出す「顔の作り込み」

VTuber配信では、顔のデザインが感情を伝えるためのコミュニケーション手段となります。表情の変化は、視聴者との心理的な距離を縮める効果があります。

目の形、眉の角度、口元といった要素は、キャラクターの印象や性格を決定づけます。目の動きや瞬き、口パク、頬の赤みなどの細かい表情パーツを調整することで、感情をより自然に伝えられ、キャラクターのリアリティや共感性を高められます。

デザイン段階では、喜怒哀楽をはじめとした多様な感情を表現できるかが重要です。顔の作り込みの精度はキャラクターの存在感や魅力に直結するため、特に慎重に設計したい工程といえるでしょう。

VTuberのキャラクターデザイナーには、専門的なデザイン技術だけでなく、チームで連携しながら制作を進める力も求められます。

ここからは、この分野で活躍するために必要なスキルを3つ解説します。

デッサン力・デザイン力

キャラクターデザイナーの基礎となるのは、デッサン力です。確かなデッサン力があれば、さまざまな表現にも柔軟に対応できるため、必須のスキルとされています。

自然で説得力のあるキャラクターを描くには、まず人体構造や骨格、筋肉のつき方といった解剖学的な知識が欠かせません。また、立体感や遠近感、躍動感のあるポーズを描ける力は、2D・3Dを問わずキャラクターデザインに求められる力です。

これらの基礎が身についていれば、VTuber業界で求められる多様な表現にも柔軟に対応できます。

創造力・発想力

キャラクターデザインは、「ゼロから世界を創る仕事」です。そのため、独自の発想力や創造性が高く評価されます。単に既存キャラクターや流行を模倣するのではなく、新しい組み合わせや独自の解釈を取り入れながらデザインへ落とし込む力が求められます。

また、設定やコンセプトをビジュアルで表現し、視聴者が共感できる説得力のある世界観を創り出す力も重要です。さらに、VTuber業界の動向やトレンドを常に把握し、新しい表現や技術を取り入れる柔軟性も求められます。

単なる作画スキルだけでなく、キャラクターを通して新しい価値を生み出す創造性が、デザイナーとしての評価を大きく左右します。

コミュニケーション力

VTuberのキャラクターデザインには、配信者やモデラー、ディレクターなど他職種との連携が欠かせません。

プロジェクトを円滑に進めるには、高い技術力だけでなく、コミュニケーション力と連携力も重要になります。打ち合わせや修正対応では、配信者やディレクターの意図を正確に汲み取り、自分のデザインの意図をわかりやすく伝える力が必要です。

また、デザインのクオリティを維持しながら、モデリングの制約や予算、納期といった現実的な課題に対して、最適な解決策を見つけ出す調整力も求められます。

VTuberのキャラクターデザイナーとして活動するには、どのような準備が必要なのか気になる方もいるでしょう。

最後に、VTuberのキャラクターデザイナーとして活動するために必要なことを3つ紹介します。

必要なスキル・知識を体系的に身につける

VTuberのキャラクターデザインには、イラスト技術に加えてLive2Dや3Dソフトに関する知識も必要です。

2Dモデルの場合は、可動域やパーツ分けの構造を理解することで、モデラーとの連携がスムーズになります。3Dモデルの場合は、モデリングやリギング（骨組み）の構造を考慮して、適切にデザインへ反映できる知識が必要になります。

これらの技術的な知識は、キャラクターデザイナーとして活躍するための必須要素です。

ポートフォリオでアピールすべきポイント

ポートフォリオは、デザイン力や設計力をアピールするために必要な書類です。キャラクターごとに、コンセプトやターゲット層、配色意図、世界観設計などを簡潔にまとめることで、発想力とデザイン力を効果的にアピールできます。

掲載する作品は、単なるイラストとしてまとめるのではなく、キャラクターが生きる世界観や背景設定を含めて構成するようにしてください。

キャラ転で見つかるキャラデザ関連求人

キャラクターデザイナーやイラストレーター、モデラーなど、VTuber制作に関わる職種は多岐にわたります。こうしたクリエイティブ職の求人を探す際は、業界に特化した情報を持つ転職サイトを活用することが効果的です。

転職サイトである「キャラ転」は、VTuber制作やLive2D・3Dモデリング関連の求人を専門的に扱っています。自分のスキルや希望に合った求人情報を効率よく見つけられるため、業界でキャリア形成を目指す人の心強い味方となります。

VTuberのキャラクターデザインには、明確なコンセプト設定に加えて、配色やシルエットを工夫したデザイン制作が求められます。現場では、デッサン力といった基礎的なスキルに加えて、Live2Dや3Dソフトの知識、さらに円滑に制作を進めるコミュニケーション力が欠かせません。

制作には多くの専門職が関わりますが、現場で求められるスキルが的確に伝わるポートフォリオを作成し、業界の理解を深めていれば、未経験から採用されるケースもあります。

VTuber制作の仕事に挑戦し、自分のスキルを活かしたい方は、キャラクターに特化した転職サイトであるキャラ転を活用してみてください。希望に合った求人を見つけやすく、業界でのキャリア形成に役立ちます。