「アニメの脚本家になって、ヒット作品を手がけたい」

アニメファンであれば、こんな夢を持っている方も多いのではないでしょうか。アニメの脚本は、アニメ作品やキャラクターの魅力、ひいては作品のヒットを左右する、作品の“魂”とも言えます。アニメ作品の脚本家を目指すのであれば、早い段階で目標を定め、専門的な技術や知識を身につけていく必要があるでしょう。本記事では、アニメの脚本家になる方法や仕事の具体的な内容、収入例などを紹介します。アニメ業界の仕事やアニメの脚本家を目指す方はぜひ参考にしてみてください。

アニメ脚本家とは？仕事の流れ

アニメーションの魅力は、作画だけではありません。キャラクターの個性やストーリーの面白さ、心に残るセリフなど、さまざまな要素が組み合わさることで、多くの人の心に残るヒット作品は誕生します。こうした要素の多くは、脚本家が生み出す脚本によるもの。脚本はアニメの魂であり、ヒットのカギを握っているのです。
本章では、アニメの脚本が完成するまでの工程について、詳しく解説します。

①プロット執筆

脚本家の最初の仕事は、ストーリーの設計図となる「プロット」を執筆することです。プロットは、視聴者をストーリーに引き込み、「最後まで見たい」と思わせるための重要な要素。魅力的なプロットを作成するには、物語を構成する力や展開力を鍛える必要があります。

また、プロットは脚本家が独断で作成するものではなく、監督や構成作家と打ち合わせた内容を反映するのが一般的です。脚本家は、監督や構成作家の意向を汲みとる傾聴力やコミュニケーション力も求められるのです。

②キャラクター設定

キャラクターの性格や登場人物同士の関係性がブレてしまうと、視聴者の違和感につながり、ストーリーへの納得感も失われてしまいます。脚本家は、プロットを脚本に起こす前にキャラクターの設定作業を行い、登場人物の行動原理がブレないよう、内面情報を詰めておく必要があるでしょう。キャラクターに関する理解が深まれば、キャラクターの行動に一貫性が生まれ、よりリアルな人物像を描けるようになります。

また、リアリティのあるキャラクターを設計するには、想像の中でキャラクターを構築するだけでなく「人間の行動」を理解することも重要です。キャラクター描写のスキルをあげるために、心理学や社会学を学んでおくのもおすすめです。

③尺に合わせた脚本

「尺」とは、テレビの放送枠や映画館で作品を流せる時間を指す言葉です。脚本家は、作品を決められた時間内に収めるため、尺に合わせて物語を区切り、情報量を調整しながら脚本を執筆する必要があります。

脚本が視覚的に表現された際の時間感覚を理解している必要があるほか、原作がある作品の場合は、原作の展開を考慮しながら、視聴者を惹きつけられる長さに収めるセンスも求められるでしょう。

アニメ脚本家の収入

アニメ脚本家の収入は、脚本の内容や脚本家の知名度によって大きく変動します。一般的なテレビアニメの1話分（30分）の場合は、1本あたり20万円前後のケースが多く見られます。実力のある脚本家は、ひとつの作品で多くの話数を抱え、高収入を得られることもあります。また、ヒット作を何本も抱える売れっ子脚本家であれば、1本で数百万円〜数千万円の報酬を受け取ることもあるでしょう。

アニメ脚本家への道

アニメ脚本家を目指すには、大きく分けて以下の3つの方法があります。

①アニメ制作会社

大学や専門学校を卒業してアニメ制作会社に就職し、下積み期間を経て制作進行、脚本家へとキャリアアップします。アニメ制作会社は、自社で企画や脚本を手がける大手の制作会社と、大手から制作を委託されている小規模制作会社の2種類が存在します。

制作会社から脚本家を目指す場合は、自社で企画や脚本を手がける大手のアニメ制作会社に就職し、制作現場で脚本家や監督の仕事を学びながら、デビューのチャンスを狙うのがおすすめです。

②シナリオコンクール

専門的な教育を受けておらず、独学で脚本を書いているというケースでも、一般公募型のシナリオコンクールで入賞し、実力を認められれば、プロになる道がひらけます。コンクールによっては入賞作品を映像化するチャンスも得られ、映像化の実績が次の仕事につながることもあるでしょう。

コンクールには実力者が集うため、入賞するのは容易ではありませんが、挑戦を重ねて実力をつけることで小さなチャンスをつかめることもあります。はじめからアニメ脚本に絞らず、CMやゲームシナリオなど、挑戦しやすいジャンルで経験を積んでいくのがおすすめです。

③コネクション

アニメやゲームの専門学校では、業界の第一線で活躍する講師陣が登壇することがあります。また、常勤の講師も業界での仕事と掛け持ちしている人が少なくありません。こうした人脈を利用し、アニメ制作の現場でアルバイトをしたり、脚本家に弟子入りして実力を磨いていくという手段もあります。

コネクションがあるからと言って、すぐに脚本家としてデビューできるわけではありませんが、有益な学びを得てスキルアップできるチャンスが広がっています。

アニメ脚本を学べる本

アニメの脚本を独学で学びたいという人には、以下のような書籍がおすすめです。

アニメーションの脚本術 プロから学ぶ、シナリオ制作の手法

【引用】“アニメーションの脚本術 プロから学ぶ、シナリオ制作の手法”BNN｜https://bnn.co.jp/products/9784802512183?_pos=1&_sid=6b7787e27&_ss=r

【書籍情報】
発売日：2022/02/17
著者：野崎 透
発行：BNN
価格：2,200円（税込）

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【こんな人におすすめ】
⚪️シナリオ制作に必要な技術や心構えを知りたい人
⚪️有名アニメ監督や脚本家の制作メソッドを知りたい人

【概要】
プロが実践している脚本制作の流れをていねいに解説しているほか、『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』の押井守監督や『ハイキュー‼』などを手がける脚本家の岸本卓など、有名監督・脚本家のインタビューからアニメ制作のメソッドを聞き出し、一流クリエイターの仕事を学べる内容です。

アニメ・シナリオライターへの道！

【引用】“アニメ・シナリオライターへの道！”立東舎｜http://rittorsha.jp/items/17317440.html

【書籍情報】
発売日：2018/09/20
著者：藤田 伸三
発行：立東舎
価格：1,980円（税込）

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【こんな人におすすめ】
⚪️シナリオの書き方を実践的に学びたい人
⚪️プロデビューする方法が知りたい人

【概要】
『それいけ! アンパンマン』『ポケットモンスター』『パズドラ』などの人気アニメを手がけるシナリオライターの藤田伸三氏が、「シナリオを書く方法」と「プロのライターになる方法」をわかりやすく解説。初心者が陥りがちな落とし穴や対処法など、独学でシナリオを書く人に役立つ実践的な情報が詰まっています。

プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式　物語のつくり方

【引用】“プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式　物語のつくり方”日本実業出版社｜https://www.njg.co.jp/book/9784534060297/

【書籍情報】
発売日：2023/07/28
著者：新井 一樹
発行：日本実業出版社
価格：1,760円（税込）

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【こんな人におすすめ】
⚪️シナリオライター養成所の授業に興味がある人
⚪️シナリオの基礎技術を習得し、物語を作ってみたい人

【概要】
日本随一のシナリオライター養成スクール「シナリオ・センター」で学ばれている、「シナリオの基礎技術」と、「物語のつくり方」を解説。設定から構成、シーンの描き方まで、ひとつひとつのフェーズをわかりやすく具体的に紹介しており、脚本初心者でも物語の書き方がすぐに身に付きます。

【まとめ】アニメ脚本家になるには、制作会社への就職がおすすめ。

アニメの脚本家は、プロットの執筆からキャラクター設定、尺に合わせた脚本などを行い、アニメ作品やキャラクターに命を吹き込む仕事です。才能や実力があれば、業界経験がない人にもチャンスがあるものの、より確実なルートを進みたいという場合は、制作会社で地道に現場での経験を重ね、キャリアアップを目指すのがおすすめです。

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