「憧れのアニメ業界で働きたい！」
そんな目標を持ったらまず、どんな仕事があるのかを知っておきましょう。アニメ業界というと、声優やアニメーターのような仕事を想像しがちです。しかし、ひとつのアニメ作品を作り、世に送りだすまでには、さまざまなスキルを持つプロの力が必要です。本記事ではアニメ業界を目指す人が知っておきたい、アニメ制作に必要な職種や仕事の工程について解説します。アニメ業界で活躍するため、自分の興味や特性に合った職種を探してみてはいかがでしょうか？

アニメ制作の3つの工程とは？

アニメ制作の工程は、「①プリプロダクション」「②プロダクション」「③ポストプロダクション」の3つに分けられます。制作会社によって細かな工程順の違いはあるものの、大きな流れは基本的に以下のとおりに進みます。


本章では、各フローごとのアニメ制作の仕事について詳しく解説します。

①プリプロダクション

作品の計画を立て、制作の準備を行うのがプリプロダクションの仕事です。企画書の作成から提案、プロット、設定・デザイン、絵コンテの準備など、アニメーション制作に必要不可欠な土台作りを行います。プリプロダクションでは、以下の職種が活躍します。またこれらの役職は、複数の仕事を兼務することもあります。

（1）企画プロデューサー
（2️）制作プロデューサー
（3）ディレクター
（4）脚本家
（5）デザイナー・クリエイター・アニメーター

（1）企画プロデューサー

制作プロデューサーはアニメの原作やオリジナルの企画など、アニメの"もと”を探してきて制作資金の調達を行います。アニメで収益を得るためのビジネス的な視点やコミュニケーション力が求められます。

（2）制作プロデューサー

制作プロデューサーは、アニメ制作が決まった際に制作のスケジュールを設定し、アニメーターの仕事を指揮します。制作スタッフを取りまとめる指揮能力やコミュニケーション力、スケジュール管理能力が重要な仕事です。

（3）ディレクター

ディレクターはプロデューサーとともに作品の企画段階から関わるほか、プロットの作成、シナリオの修正指示などを行います。制作全体を指揮し、作品のクオリティを担保する重要な役割を担っています。

（4）脚本家

プロットと呼ばれる設計図に沿って、ストーリやセリフを考え、脚本として仕上げます。作品によっては監督が脚本を手がけたり、何人かの脚本家が分業して複数話のストーリーを手がけたりすることもあります。

（5）デザイナー

アニメ制作のデザイナーはキャラクターデザイナー、メカニックデザイナー、美術デザイナーなど、担当分野に分かれてスキルを発揮します。各デザインは、アニメーターに展開した際に指標となるよう、デザイナーによって細部まで緻密に設定されます。

②プロダクション

プロダクションでは、キャラクターを描き、着色して動かす、というアニメ制作のメインとなる仕事を行います。日本のアニメ業界では、原画や背景、動画、特殊効果など、各工程を専門のアニメーターが担当し、細かな分業によって一本の作品をつくりあげるのが一般的です。また、アニメーターや他の役職との橋渡しを行う制作進行や、作品の演出を担当する演出家も、プロダクションのフェーズから参加します。

（1）制作進行
（2）演出家
（3）原画マン
（4）作画監督
（5）動画マン
（6）背景美術
（7）特殊効果
（8）CGアニメーター

（1）制作進行
制作進行は作品全体のスムーズな進行を管理する役割を担います。脚本完成後、監督や演出家の意見を取りまとめてアニメーターに指示を出しながら、スケジュールの管理・調整を行います。

（2）演出家
演出家はその名の通り、仕上がった脚本をどのように演出するのかを決め、絵コンテを起こしてアニメーターにイメージを伝えます。絵コンテは演出家自らが描くケースもあれば、監督や絵コンテを専門とするコンテマンにイメージを伝えて仕上げてもらうケースもあります。

（3）原画マン
キャラクターの動きの中でポイントとなる部分を抜き出したものを原画と呼びます。原画の担当者は原画マンと呼ばれ、演出家や作画監督の意見を反映しながら、キャラクターの動きを原画化します。

（4）作画監督
作品のクオリティを監督する人。アニメーターから提出された原画をチェックし、各話によって絵柄が変わらないよう、調整します。

（5）動画マン
原画と原画の間の絵を描き、動画に仕上げるのが動画マンの仕事です。大量の絵をスケジュール通りに納品するため、集中力やていねいさが求められる仕事です。

（6）背景美術
アニメの背景を専門に書き起こす仕事です。背景は、作品の世界観を左右する重要な要素です。画力はもちろん、キャラクターの心情を画面に表現する繊細な表現力が求められます。

（7）特殊効果
画面上の小物に質感を足したり、キャラクターに光を当てたりすることで、アニメ表現をより豊かにする仕事です。かつては手描きで特殊効果を書きくわえていましたが、現在はCGを使った特殊効果が一般的になりました。

（8）CGアニメーター
アニメーターが書いた絵に3Dソフトでキャラクターに動きをつけたり、特殊効果をくわえたりするCG専門のアニメーターです。キャラクターを自然に動かすための高いCGスキルや表現力が必要とされます。

③ポストプロダクション

ポストプロダクションは、プロダクションが制作したアニメーションを編集し、音声や効果音をくわえて放送できる状態まで仕上げるといった、アニメ制作の最終工程を担います。

（1）編集
（2）声優
（3）音響監督
（4）音響エンジニア

（1）編集
アニメ作品の場合、カットの構成や長さが絵コンテで指示されています。編集担当者は絵コンテ通りにカットをつなぎ、あらかじめ決定している放送時間に合わせて長さを調整します。

（2）声優
アニメ業界の花形と言えば、声優の仕事です。声優はキャラクターの動きに合わせてセリフを表現し、作品に命を吹き込みます。アニメ作品はスケジュールの調整が激しいため、動画が完成していない着色前の状態で声優がセリフを収録することもあります。

（3）音響監督
アニメ作品の音に関する責任者です。アニメ内の効果音、BGMの収録・選定はもちろん、声優の配役やセリフの細かな演技指導などを行い、作品内の音に関するクオリティを担保します。

（4）音響エンジニア
音響監督の指示で効果音を収録したり、BGMを選定したりします。また、映像に合わせてBGMや効果音、声優が吹き込んだ声をミックスし、音量を調整する「ダビング」と呼ばれる作業も音響エンジニアの重要な仕事です。

アニメ制作の現場で働くには、どんなルートがある？

アニメの制作現場で働くには、美大や専門学校で必要なスキルを身につけ、制作会社やプロダクション、スタジオに就職するルートが一般的です。作画監督やキャラクターデザイナーを目指す人は、動画マンからスタートし、キャリアアップを目指すのが良いでしょう。

【まとめ】アニメ業界の将来はどうなる？業界転職ならキャラ転へ！

アニメ業界は長年人材不足が叫ばれ、下積みの役職であればあるほど低賃金・長時間労働の慢性化が課題となっていました。しかし、近年は改善が進んでおり、これまで「1枚いくら」の出来高制だったアニメーターの給料が、固定給＋出来高制に見直された制作会社も多いようです。また、デジタルツールの普及で効率化が進み、長時間労働も変わりつつあります。アニメ市場は右肩上がりで人材の育成も急がれるため、今後のアニメ業界はより働く人に優しい業界になっていくことが予想されます。

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